ご報告

大変ご無沙汰をしてしまい申し訳ありません。ご心配くださった方々、この間もご支援くださった方々本当に有難うございます。妻は11月には「要介護3」の判定を受けてしまい、今もベッドで暮らす日々ですが、妻の現況については公式サイトの方でまた時間を作ってご報告したいと思います。

今回も夫のヒロが代筆しております。以来、なかなか報告をまとめることができなかったのですが、実は7月1日未明、当牧場で余生を送っていたマイネギュゼルが急逝してしまいました。

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入厩時のギュゼ

「競馬引退後即処分」の運命からギュゼルを不断の努力で救い出したギュゼママさんにだけは、容態急変の時からお知らせしておりましたが、可愛いギュゼを優しく見守ってきてくださったみなさまにも、当然ながらもっともっと早くお知らせすべきだったと思います。大変申し訳ありませんでした。

引退直後に馬運車に載せられて当牧場へ到着したマイネギュゼルは、(競走馬にはよくあることのようですが)グレイハウンド犬かと思うくらいお腹が流線型に引き絞られていて脚とお尻の肉だけが目立っていましたが、ここの食事ですぐに野生馬のように逞しい馬体型になりました。

当牧場に来れば、競馬場の無菌状態、何かに感染するとすぐに抗生剤を打たれるような暮らしから一変して、ほぼ自然の中に近い環境で暮らすことになります(御飯がもらえる、削蹄してもらえる、調教もある、など自然と違う面はもちろんありますが)。ギュゼルもほかの「直送便組」の馬たちと同じく、一度は、どこにでもいる常在菌の洗礼を浴びて擦り傷で脚を腫らしたりしながらも、自力で回復して、日々元気に(うちの牧場でもとびきり元気に)文字通り放牧地を駆け回っておりました。

ただ、どんな育ちの馬にも共通する馬の習性のひとつだとは言われましたが、中でもギュゼルはことさらに「かじる」癖がありまして、毎日毎日ゴリゴリ噛み続けて硬いプラスチックの飼い桶をひとつ割ってしまったこともありました。

6月の末、つい前日までは元気に足どりも軽快だったギュゼルが、飼い桶の飼料も牧草もしっかり食べていながら急にぼんやりして、みるみる覇気がなくなり、身体も肉薄になってきました。お腹の音を聞いたらグルグル動いていたのですが、獣医さんを呼んで診てもらいました。

栄養剤の点滴を入れてくださり、ビタミン、アミノ酸、人間用のサプリまであらゆる栄養を入れてもらいましたが、やがて座り込んでしまったまま自力で立てない状態が続きました。食欲はあって、輸入牧草や刈ってきた牧草生草を寝ながら食べていたのですが、なかなか体力が回復しませんでした。

あとは立ち上がれるかは本人の体力気力次第と言われ、獣医さんも翌日追加の点滴を入れてくださったのですが、最終的には回復まではおよばず、看病の甲斐なく静かに呼吸が弱り、息をひきとりました。

最終的な死因としては「肺炎」と言われましたが、6月のほぼ毎日の雨続きの際(十勝地方も激しい豪雨になりました)、普段は馬房出入り自由の馬たちを、馬房を閉じて避難させていたことが多かったのですが、その際、ギュゼルは据付の木製の飼い桶の板や、厩舎の柱をけっこうかじっていました。若く元気いっぱいだっただけに、馬房に「閉じ込められた」のがストレスだったのかもしれません。そのことを獣医さんに話したら、消化に悪く栄養もない木屑がお腹のどこかに詰まったり溜まったりしたせいで飼料を食べても吸収できなかった可能性もあると言われました。

これまで、もともと助からないと匙を投げられたあとにここに連れてこられて、奇跡の回復を見せた馬もいましたし、ここに来た時にすでに内臓がボロボロだったような馬もおりました。多かれ少なかれ、放っておけば間もなく肉になる運命から「レスキュー」という形で当牧場に来たような馬は、競馬や乗馬でそれなりに大事にされていたような子でさえ、必ず心身両方に何かしらの重い問題を抱えていました。獣医さんに診てもらうたび、実年齢よりもはるかに老化してしまっていた身体の様子を知らされてきました。大事に大事に育てられいるようでも、結局、人間でいえば中学生くらいの年齢から毎週のように全力疾走をさせられ、手っ取り早く筋肉を増強するための食事を幼少期から続けてきて、健全な体であるはずもないのかもしれません。競馬界の馬たちにとっては、ただ普通に生きるだけのことがこんなに難しいのかと、悲しい思いにさせられたのは今回で何度目かわかりません。

ギュゼルは最後に走っていた地方競馬の厩舎で大事にされていたようで、元来の若さと陽気さもあって、ちょっと絞りすぎの体型のほかは健康で何の問題もないかのように思えていました。そんな若くて元気に見えた馬でも、今回は直接には何が原因か特定できませんでしたが、結果短い一生を終えることになってしまいました。すごく人懐こい子で、ほかの子のご飯を奪ったり電柵をやぶったり何度となくコラ〜と叱りながらもどうしても憎めない子で、しばらくしたらすぐ甘えてくるギュゼルをよしよしと撫でてしまう自分がおりました。

b83dce723b0545cff1c77eac9d81a60e.jpeg娘もよく、ギュゼルに人参をあげる係を喜んでやっていましたが、一見おてんば娘のギュゼルが小さな娘には優しく口を差し出したりして、相手がか弱いとわかるんだなと思ったものです。本当に、家族3人で可愛がって、ギュゼル自身も毎日のように他の馬を遊びに誘い走り回って尻っ跳ねして「馬生」を謳歌していました。もっともっと長生きして余生を楽しんでくれると信じていました。

お色気もたっぷりで、どこか小悪魔的なところもあり、男子をたちまち引きつけてしまう魅力の持ち主でもありました。

150501_1453ギャビとラブラブのギュゼ

 

img_1036直前まで平和だった男子2頭(ギャビ・奥とナムラ王子・手前)が、ギュゼが現れるや戦闘状態に。それをクールに見定めようとしているギュゼ。。

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入厩した日、妻はギュゼと一緒にお昼(おにぎり)を食べ、おやつの時間までずっと一緒に過ごしました。リードなど無くても、ギュゼはこうしてずっと妻の傍にいました。実は、とっても甘えん坊なお嬢さん、ということがわかりました。

ギュゼママさんが妻に連絡してきたときのことなどもっと聞いておけばよかったと思います。どのような努力と連携でギュゼルが処分の危機から救われたか、奇跡のような現実をここで書いておけたらと思ったのですが、今の妻に語らせて熱を出されてもいけないので、この場は悲しい報告のみとなって申し訳ありませんがここまでにさせていただきます。

これまでギュゼルの余生を温かく見守ってくださった方々、馬たちの日々の生活をサポートしてくださった方々、本当に心から感謝申し上げます。

ご報告」への3件のフィードバック

  1. ようこ

    辛いことが沢山襲って来てどうしたらいいか解らなくなってしまうけど…。この嵐が通り過ぎてくれたら後は穏やかな日々を送ることが出来たら…。そう願い毎日過ごして居ます。大切な人や動物が辛い思いすると心が痛いです。痛みがない毎日を送ることが出来たら…。良いのに。

  2. ようこ

    こんばんは 文子さんその後お体のほうはいかがですか?少し落ち着いたでしょうか?暑くなり始めてきてますからお体皆さま御大事になさってくださいね。

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